1 災難は突然降りかかる

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「返事しただけマシだと思え」 というか、去れ。 「沙希、酒飲めるなら一緒に飲もうぜ。飲み相手が居なくて」 そう言って私の視界にビールグラスを入れてくる男。 「最低チャラ男と一緒に飲んだら不味くなる!」 私は漸く顔を見て言った。 言ったというより叫んだだけど。 この男は先程も紹介したが須藤篤弘。 女の天敵で、私の親友の由香里(ゆかり)を中学三年の時、由香里と付き合いながら他の女に手を出してボロボロに傷付けて捨てた 男。 しかもそれだけじゃ飽きたらず、その後学校中の女に手を出しまくった最低男。 「その汚名はもう忘れろよ」 なんて言いながら勝手に私の隣に座る男。 「忘れられるか!」 私はその時目の前に差し出されたビールグラスをガシッと掴むと、ぐびぐびぐび!っと一気飲み。 「おー、豪快ー!かっけぇ~」 一気飲みした私を見ながら拍手するアツヒロ。 その軽そうな口っぷりが私の苛々を誘ってくる。
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