1 災難は突然降りかかる

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「ふふっ。ありがと」 「しかももう跡継ぎも産んだから万々歳ね」 目の前の莉緒は幸せそうな顔で赤ちゃんをあやしている。 この子はもうすぐ1歳の莉緒の息子の(かい)。 「でも私達は会社を継いでもらおうとは思ってないから。社長がやりたいならやれば良いし、自由に好きなことをして生きて欲しいの。でもね、仁すらまだ社長にもなってないから先の先の話だよ」 「凄い夫婦だね。普通自分の子供に跡継がせたがるでしょ」 「うちは自由なの」 お金も沢山あるからかな。 自由だな。 あー、羨ましすぎる。 「あー、良い男。落ちてないかなー」 私はアイスコーヒーのストローをくわえながら溢す。 「沙希、最近それ口癖だね」 「あ。いたわ、良い男」 「え?どこ?」 莉緒はキョロキョロ辺りを見渡す。 「ここ」 「え」 私が笑顔で莉緒の抱いている海を指差すと莉緒は目を丸くする。
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