燭天使のアリョーシャと恋の物語

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「ずるーい。664は666の奥さんよ!」 「えっ、えっ、どういう?」 「『神』工場と『人の子』プラントは破壊されたわ。能動天使どもはそっちの防衛でてんてこ舞いのはず。三位一体システムはもうおしまい。その間にあたし達だけで降臨するのよ」 665は強引に664の手を取り、祝言を唱えた。 「ちぇっ、いいわ。666も大事にしてね」 三人のアリョーシャは河を飛び越えて、対岸の空港へ向かった。ロビーは倒れた人で足の踏み場もない。滑走路に三角形の翼が待機している。 「ちょっと、665姉ぇ。ロックがかかってるわ!」 666はコクピットに就くなり、かぶりを振った。 「それに、神軍と人類軍の生き残りがわんさといる」 フロントガラスに蛍光色の勢力図が浮かび上がる。空港周辺はおろか、工場船のあちこちで戦闘がおきている。 「サマエルが助けてくれるわ」 665はスカートのポケットから角状のケースを取り出した。 「それは何?」、と666、 「彼の人工胸骨よ。サマエルシリーズの主記憶。さっき回収しておいたの」 665は慣れた手つきでサマエルの遺骨を電極に繋いだ。     
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