燭天使のアリョーシャと恋の物語

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ガンと蹴り上げるような衝撃が来た。みるみるうちに周囲の景色が巻き取られ、漆黒の闇が襲ってきた。その間、一瞬だけ窓の外が泡立った。 「ひょーっ。全方位多弾頭誘導弾。ぶっそうな仕様ね」 666はカルチャーショックを覚えた。 「これから降りていく先は『そういう』世界よ。秩序を頑なに守る神と、いい加減な……換言すれば自由奔放な人間。その調整役としてあたしたちが作られたんだけど、これからは天使だけで回していかなきゃいけない」 665は青く輝く惑星に舵を切った。 「天使だけの世界かあ」 アリョーシャ664は気が遠くなる想いで窓をながめた。 「男なしでやってけんの?」 666が心配している。 「三人いれば、どれとも与しないX染色体だけのペアが必ず一つは出来るわ」、と665。 「ねぇねぇ、664はどっちが好き?」 666は早くもアリョーシャに粉をかけはじめた。 「は~~。『僕抜きでもダイジョウブー』って本当なの?」 アリョーシャは丸い星にサマエルの顔を重ねた。
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