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天使たちは這う這うの体で雲海に消えた。
石畳の虜になったアリョーシャ。ぐんぐんと高度をさげると喧騒が潮騒のようにざわめく。
「あそこにいたわ!」
能動天使の一人が高層ビルの陰に白い点をみつけた。一直線に着地点をめざしている。通行人たちが立ち止まったりスマホを空に向けている。
「ちょ……降臨ルール、刷り込んでないの?」
もう一人の天使がアリョーシャを指さしてあきれ果てる。
「つか、ガン無視じゃね?」
「こりゃ、やべーわ」
さっきのヤンキー風天使たちも口をそろえる。
「緊急隔離プロトコール。手順1!」
第一発見者の女がドレスを翻した。
引き締まった太ももを縛るベルト。そこに小さなラッパが刺してある。
仲間たちも同じようにラッパを取り出す。
通勤ラッシュの街に力強い管楽器が鳴り響く。
誰でも嫌なことを遠ざけたり
傷づくことを避けたいと願う
だが向き合えば、道が開ける
♪ ♪ ♪
第一楽章がアリョーシャを追いかける。
しかし、彼女を振り向かせることはできなかった。
「そうなると思ったわ。手順2」
能動天使たちは諦めず、演奏を続けた。
ぶつかったり
はばまれたり
力に屈したり
それでも、困難に挑むことで乗り越える力が身につく♪
貴女はできる子♪
これでもか、とラッパが畳み掛ける。
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