燭天使のアリョーシャと恋の物語

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しかし、アリョーシャは停まらない。むしろ、祝詞に勢いづいている。 彼女はグングンと加速してビルに接近した。 「プロテクトが全部破られた!」、能動天使は慌てふためく。 市内を眺望できる高級マンションの上層階。フロア三つ分をぶちぬいてガラス張りのスパが女性客でにぎわっている。 「あ、虹♪」 アリョーシャは水蒸気の雲間に七色の帯をみつけた。 まようことなく弾みをつけて、ゴリラガラスを突破する。 降り注ぐガラス片がセレブたちを地獄へ突き落した。 「やってくれるわ」 能動天使のリーダー格は目を覆った。 「だれかババアに通報して!」 打てば響くように部下が返答した。 「とっくにやってます。懲罰権限、付与されました」 「そうこなくっちゃ☆」 リーダーが指を鳴らすと燐光が凝縮して、大きな弓を形づくった。他の能動天使たちも同じ武器が支給される。 バリバリと窓を突き破って元気よくアリョーシャが飛び出した。 背中に金髪の少年がしがみついている。 年のころは中学生くらいか。派手なサーフパンツから小麦色の脚が覗いている。 「ちょっと、これって」 能動天使のリーダーは面を食らった。 「信じられない。堕落手順を踏み破ってるわ。ババア、聞いてる?」 『聞こえてますよ』     
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