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アリョーシャはドキッとした。
「そうだよ。君のことはずっと見守っていた。僕にとっては特別な存在だからね」
サマエルにそう言われると、さらに胸がときめいた。
「わたしは貴女のことを何もしらないわ。燭天使以外の女子がいるなんて知らなかった」
「僕は男の子だよ」
「オトコノコ?」
「もっとも、君とは一緒に暮らせないけどね」
アリョーシャは目の前が真っ暗になった。ショックのあまり、翼がしおれてしまう。
そのまま真っ逆さまに頭から落下する。
「しょうがないな」
サマエルは身体をくねらせた。手を伸ばせばすぐそこにロープがある。河を渡る大きなつり橋の真上だ。
二人は支柱のてっぺんに降り立った。
潮風がアリョーシャのドレスを腰までふきあげる。
「そういうのは出し惜しみしたほうがいいよ。というか、代わりになるものを探した方がいい。地上に降りたら天界の物はなかったことになるからね」
サマエルはドレスを整えて白い布地を隠してくれた。
「えっ?」
アリョーシャはポカンとしたままだ。
「君は何にも知らないんだな」と、サマエルは吐息をついた。
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