燭天使のアリョーシャと恋の物語

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地球脱出教団(メフロンティア)の超長距離棄民船団(エグザルテーション)は長い遍歴のすえ、ようやく悲願を達成する目途を立てた。 破滅の再発を防止するためには人間の性根を根本から叩き直す必要がある。 その手段はクローンや遺伝子操作といった小手先の改良ではだめだ。 造物主のやりかたに従って、創造の段階から「ヒト」が関与する必要がある。 そうすることによって原罪を取り除き、今度こそ真の恒久平和を達成できる。 プロジェクトの成果物としてアリョーシャの工場プラント船が派遣された。 「???」 アリョーシャは目を白黒させた。サマエルの言っている内容は一割も理解できない。ただ、彼女を安堵させたのは、橋の欄干から例の石畳が見えたことだ。 「行かなくちゃ」 アリョーシャは動きにくいドレスを風に流した。腰回りを覆う僅かな布だけを残して、宙に身を躍らせる。 「まだ説明が終わってない」 サマエルも慌てて後を追う。 「なんだかわからないけど、運命があたしを押してくれてる」 燭天使はそういうと、河に面した歩道へ飛んでいく。 「あぶない!」 彼女の前途をサマエルが遮った。どしんと体がぶつかりあう。次の瞬間、大きな音と光がアリョーシャを襲った。 「きゃあ、サマエル?!」 何という事だ。サマエルの四肢がきれいさっぱり失われている。傷口から緑色の液体が噴き出す。     
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