第1章

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可奈は番所に引き立てられた    後ろ手に厳重に縛られた可奈は番所の土間に正座させられた、寒さに凍えて、心細さと怖さで身も心も怯えていた    鬼同心との評判の高い鬼頭源三郎と岡っ引きの助平、闇吉の三人がニヤニヤと顔を崩して可奈を眺め回している   「おい、可奈、押し込み強盗一味の仲間の名前を洗いざらい吐いて貰おうか 」    同心の源三郎が竹刀を持ってバシッと可奈の背中に振りおろした   「ヒイッ」    情け容赦のない一撃だった    可奈は、あまりの痛さに悲鳴をあげた    「許して、打たないで、打たないで下さい・・・」   「バシッ、バシッ」    泣き叫ぶ可奈の背中に同心の竹刀が繰り返し打ち下ろされた    「私は押し込み強盗一味の仲間では有りません・・・仲間の名前など知りません・・・どうか、お家に帰してください」  可奈は取り調べの恐ろしさに震えながら泣いて哀願した   「お前と巳之助がつるんでるところを見たものがいるんだよ、お前が生娘かどうか身体を調べればわかるんだ」    源三郎は可奈の脚の付け根の会わせ目に振り袖の上からグリグリと竹刀の先を押し込んだ   「ううっ、巳之助さまとは・・・」可奈は恐ろしさに言葉に詰まった、巳之助に茶屋に誘われて夫婦になる約束をした日に一度だけ契りを結んでいた   「密通をしてたんだろ」   「・・・・・」   「答えろ、お前は親にも隠れて巳之助と男と女の関係だったんだろ、嘘をつけば調べが厳しくなるぞ」    可奈の振り袖の合わせ目を割って竹刀の先が押し込まれた   「ああっ、一度だけ、一度だけです、巳之助さまとは夫婦になる約束を、巳之助さまが押し込み強盗の一味なんて絶対に違います」   「聞かれたことだけを答えれば良いんだ、巳之助とは繋がったことが有るんだな」   「・・・は、はい、お願いです、もう許して下さい」    可奈の太腿に振り袖の上から更に竹刀の先がグリグリと捻り込まれた、可奈は恐ろしさと恥ずかしさに顔を伏せて啜り泣いた  
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