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父は、コースケのスピーチでボロボロ泣いてる。
まあ泣くよね。昔から涙もろい人だし。
気丈な母も泣いてるけど、母を泣かせたのは、私の「手紙」のおかげのはず。コースケのスピーチのせいでは、ない。
最後に、右隣に立つコースケを見る。
コースケは顔を真っ赤にして、暗記したスピーチを続けている。
泣いてる人が多いってことは、スピーチの内容はいいものだったみたい。
意外とやるのね、コースケ。
まあ半分くらい内容を考えたのは私だけど。
さて、もうそろそろスピーチも終わりのはずだ。
『…これからも、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いします』
コースケのスピーチの最後の締めのセリフを聞き、私は背筋を伸ばして正面を向き、最後にキレイなお辞儀をする。
泣いてても、決めるところは決めるのよ。
ホッとしつつ、お辞儀を済ませて顔を上げ、「終わったぁ」と安心して大きく息を吐きながら隣を見ると、コースケが、再びマイクを持ち上げるのが見えた。
『最後に…』
あれ?終わりじゃないの?
突然コースケは、練習の時にはなかったセリフを喋り始めた。
『私とマユミの両親、親戚の皆さん。
マユミのおじいちゃんとおばあちゃん、
そして、ヨウコおばさん。
あなた達がいてくださったからこそ、
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