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最終章 再び披露宴
泣き顔を見せないために披露宴会場で天井を見つめていた私の顔は、反対にもう隠しきれないほど涙でぐしゃぐしゃだった。
思い出に浸ってる場合じゃなかった…。
これもなにも、コースケがメモも見ずにスピーチするなんて言い出すから。
あれ?仕向けたのは私か。
いや、まあなんでもいい。
とにかくコースケのせいだ。
真顔に戻るのはもはや諦め、“どうにでもなれ”と開き直った私は、再び視線を天井からフロアに戻す。
来賓席に座る、ヨウコおばちゃんと、また目があった。
にっこり微笑んでる。というか、絶対私の泣き顔見て笑ってる。
友人席の腐れ縁の友人たちの方は、あえて見ないようにする。
こんな顔見られたら、絶対一生言われる。
私の視線は友人席をスルーして、手前の親族席に向かう。
一番手前のテーブルに座るおばあちゃんと目が合った。
ハンカチで目頭を抑えて泣きながらにっこり笑ってくれたおばあちゃんの横で、おじいちゃんはこっちに背中を向けて顔を見せないけど、肩が小刻みに震えているのがわかる。
こうなったら身内は全員泣いてるかどうか確かめてやろうと全員の顔を覗き込んだあと、最後に私の左隣に立つ両親に視線をやる。
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