第3章 思い出

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第3章 思い出

プロポーズ以降は、それこそあっという間だった。 学生時代からもう何年も交際していて、私の両親もコースケのことはよく知っているし、コースケのご両親も私のことはよく知っている。 学生時代からアラサーになるまで付き合ってるのに、コースケがプロポーズを今の今まで先延ばしにしていたのは、コースケにはコースケなりの考えがあったのだろう。 彼は私にはあまり自分の仕事のことは言わないけど、数年前に一度転職してるコースケとしては、会社のポジション的に私を食べて行かせられるだけの自信の持てるレベルに、漸くたどり着いたのだろう。 真面目なやつだから。 まあ、私の年齢の“レベル”が一つ上がる手前だということも、多少は気にしていてくれたと信じたい。 双方の両親への挨拶を済ませたその日、午後からは、私とコースケは電車に乗って、私の母方のおじいちゃんとおばあちゃんの家に向かった。 コースケの方は既に父方母方とも、もうおじいちゃんもおばあちゃんもいない。 「おばあちゃん、来たよー」 私のおじいちゃんとおばあちゃんは、田舎で二人だけで暮らしている。     
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