第1話 薔薇の魔術師

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俺としては、オーナーが定期的に巡っている事から、まだ佐々木龍生という画家の作品は有るのだろう、と想像出来るが、それをこの少女が知っているのか解らず、質問の意図を尋ねた。少女の口ぶりは、まだ作品がある事を前提とした発言だ。 「あ……。すみません。ご存知の方なのかと思っていました。あの、話せば詳しい方を紹介してもらえるんですか?」 「はい。ただ今、オーナーは席を外しておりますが、話をオーナーに通しておきます。後日改めてオーナーか鑑定士に会いにいらして下さい。もしくはこちらからお伺いします」 少女の目を真っ直ぐに見ながらゆっくり伝えると、彼女は俺の言葉を吟味するように、しばらく考えていた。 「あの、オーナーさんはいらっしゃらない。と言われましたけど、鑑定士さんはいらっしゃらないとは言わなかったですよね? 会えますか?」 おー。よく聞いてたなぁ。そして、よくそこに気付いたなぁ。確かに鑑定士は居ないとは言ってないけど。俺もあの日以来会ってないから、分かんないんだよなぁ。どうしよ。そう言えば、オーナーはあそこにある電話で連絡を取ってたよなぁ。俺が使っても大丈夫なのかなぁ。うーん。 「鑑定士も現在席を外しておりまして。急ぎで話をしたいのであれば、オーナーに連絡を取りますが」 悩んだが、使用許可が無い電話は避ける事にした。
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