1 「it's a piece of cake」

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私のお父さんは若い。と、皆が言う。確かに中学2年生のお父さんの年齢が35歳なら若いのかもしれない。でもお母さんは50歳。お父さんより15歳も年上で、お母さんはその年の差が寂しいのだ、と笑う。どうしたって自分の方が先に死んでしまうから。と。だから、と私に笑う。 「お父さんのことは宜しくね」 いつも口癖のようにそんな事を言った。私の名前は山崎きらり。平仮名できらりという名前は、お母さんの名前がひかりだから。お父さんの名前が流だから、流れ星が光るイメージで、きらりなんだって。お父さんとお母さんの名前が混じった名前の由来。 小学生の時、自分の名前の意味を知ろう。という宿題を出されて、お母さんに教えてもらった時から大好きな名前。ちなみに、2歳年下の弟は山崎あきら。名前が平仮名なのはお母さんに合わせたからだ、とお父さんは言う。でもお母さんは、あきらって名前を漢字にしたかったみたい。私の時も漢字にしたかったのに、平仮名だったからって。 でも、私の名前を漢字にしたら星。星って書いて、きらりと読む事になってた。ちょっと恥ずかしい。キラキラネームだもん。14歳の私はキラキラネームって恥ずかしいって思うんだよね。あきらは、漢字にすると輝。やっぱり、お父さんの流とお母さんのひかりという名前から出来た名前。私がキラキラ光るイメージなら、あきらは強く輝くイメージなんだって。
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