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歩道橋の夕日
建ち並ぶビルの間を大きな道路が一直線に走っている。一定の速度で流れていく車をみて、ふと思ったことが口をついて出てきた。
「回転寿司……ですか。」
長い沈黙と不意打ちのせいだろう。一瞬肩がピクッと動き、それから咳払いを一つして彼は答えた。
「昔、よく行きましたよ、親に連れられて。最近はめっきり行かなくなりましたが。」
「そのとき毎回食べていたネタなんかは、あるかな。」
そうですね……。眉間に皺を寄せ、左手を額にあてる。彼が何かを思い出そうとするときの仕草だ。
「あ、マグロです。僕は行くと必ずマグロをとっていました。ですが、炙りは未だに無理ですね。サーモンのは、大丈夫なんですけど。マグロに火を通してしまうと、なんと言いますか……マグロらしい鉄っぽい味が薄れて、パサついた焼き魚みたいになってしまうので……。」
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