歩道橋の夕日

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彼は真面目だ。真面目で律儀だ。感覚ではなく、考えてから物をしゃべるタイプなのだろう。 ただ、意図しているかは分からないが、その効率と柔軟性を欠いた立ち振舞いは、しばし周囲を苛つかせた。俺もかつては、そのことで陰口をたたいて笑う人間の中の一人だった。 しかし俺は、ある時彼が、例えば自分の家の軒下に蜂の巣ができてしまったら、すんなりとその財を手放してしまうような男なのだと気づいた。 そしてそれ以来、俺は彼の存在の全てを受け入れなければならないと思うようになったのだ。
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