歩道橋の夕日

5/7
前へ
/7ページ
次へ
ずっと思っていた。こいつは、何か現実的な問題に直面すると足元の覚束ない青年のようないでたちでいるが、その中には太い信念を持った意志のようなものが一貫としてある。一体何が、こいつをこんなにも支えているのだろう。 再び長い沈黙が流れていたようだった。 焦った様子の彼が横にいるのを感じる。 偉そうなことを言ったと詫びる声が聞こえた。 「なあ、俺がこの先お前を理不尽に叱るようなことがあったら、今日の話を思い出してくれないか。お前は確かによくミスをするが、俺だってたまにはする。俺らは精密機械じゃない。俺は今日お前を3回叱ったが、そのうちの1回は俺のミスだ。」 「先輩のミス?」 「少なくとも、又聞きしたことを鵜呑みにしてあんな風に叱るべきじゃなかった。」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加