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ふいに、ベッドの上にあったスマートフォンが震える。画面を見ると『俺のパスポート写真、まじヤバくね?』というコメントと、一枚の写真……まだあどけなさが残る、中学時代の学ランを着た悟……が送られてきていた。懐かしさに、思わず笑ってしまう。
真中悟(まなかさとる)とは、中学の時からの腐れ縁だ。
最初、悟が別れ話をしている現場に居合わせてしまったという特殊な出会いではあったが、その後何となく仲良くなって、気付けは大学まで同じところを選んでいた。自分は余り人付き合いが得意ではないのだが、悟とは一緒にいても、心地良かった。きっと、悟は根本的に人付き合いが上手いのだろう。
『幼児趣味のオッサンに言い寄られないようにな』
俺はそうタイピングし、スマートフォンをベッドの上に投げた。また何度か振動しているが無視して旅行の準備に戻る。きっと、悟が盛大に不平不満を言っているのだろう。一々付き合っていたら、いくら時間があっても足りない。
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