0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
第1章
私は物語の主人公になれない。
その事実に気がついたのは、中学に上がってすぐのことだった。少し大きめの、体にまだ馴染まない制服に身を包み、一週間過ごしただけでわかった。小学生の頃はみんなごちゃごちゃになって遊んでいたのに、急に妙なグループ分けが始まった。みんな楽しそうに過ごしながらも、自分が、相手が、クラスでどの位置にいるのか腹の中を探っているのがまざまざと感じられた。明るくて活発な子たちがクラスを仕切りだし、私のようないわゆるおとなしく、可愛くもない子なんかは特に意見することもなく、彼らの決めたルールに従うことが強要された。暗黙で。そうしているうちにクラスの中で目には見えないけれど、はっきりと層ができた。
最初のコメントを投稿しよう!