捜索

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「そうだよな…」と、半ば反省したように呟いた。 分かってくれたらそれでいい。 そう思って、その言葉に笑顔を返した。 そうしているうちに、レーダーのアラームが鳴り響いた。同時にメール。 《今の反応、私です》 短い文章だが、胸を撫で下ろすには十分な言葉。 暫く待てば、その姿が見えた。 「あ、悠馬くんがこれを持っていけって。」 「え?…悠馬くんは?」 「知らない。どこかに行ったけど。なんか、急いでるみたいだったし。」 「……………」 ゾクリと悪寒が走った。 僕の唯一の信頼できる仲間。 …いや、僕の中では既に親友。 たった数日だけど、これほどまでに自分を理解してくれて、相手を理解した人がいただろうか。 「ごめん、今日は二人でアイテム探しをしててくれる?僕は悠馬くんを捜してくる。」 「捜すって…そこら辺にいるだろ。」 「嫌な予感がする。とりあえず荷物を置いている場所に行ってみるから。 明日の朝、また合流しよう。」 「分かった。」 それからはいつも通り海沿いを走って、走って、二人のレーダー圏外に出て方向転換して、また走って。 「…ハァ!ハァ!ハァ!…岳…?」 ライトに照らされた岳は突っ伏していて。 布団に砂が撒き散らされたように汚くて。 岳の手はボロボロで。 ゆっくり顔を上げると、岳は泣いていて。 …すべてを悟った。 「…悠馬くんが来たんでしょ?…出ていったの?」 《ぼくがわるいんだ》 「何があったの?」 《ひとをころしたっていってた そのときぼくはこわくなって うそついて ゆうまくんをきずつけた ぼくのせいでゆうまくんはでていった》 「……………」 打ち終わると、口を大きく開けて、声なき声を出して泣く岳がいた。
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