未知の恐怖

4/39
前へ
/502ページ
次へ
その男は俺をしばらく観察すると、フラッと立ち上がって歩き出した。 俺もその後を追う。 森の中を捜索している。 どうやらアイテムを探しているらしい。 しばらく歩き続け、急に大きな木に登り始めた。 …かなり器用な登り方。 上から大きな袋を落とすと、滑るように降りてきた。 中身を確認すると、大事そうに抱えて歩き出す。 向かったのは砂浜。 一角にある草むらを掻き分け、中へと入っていく。 しばらくしたら出てきて、同じ行動を繰り返していた。 夕暮れ、急に彼の携帯が鳴り響く。 それを確認すると、すぐに携帯を見ながら走り出す。 視線の先には人がいた。 「……おい。」 「…うわあっ!」 「うるさい。」 「なんだお前!」 「…ここから先は俺の縄張りだ。どこか行け。」 「…は!?」 「殺されたいのか。早くどこかに行け。」 肩から紐でつるし、背中にあった日本刀を鞘から引き抜くと、刀をその男に向けて脅し始めた。 しかし、傍から見れば殺す気などないのは一目瞭然。 なぜなら、首に向けた刃は"逆刃"だったから。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2636人が本棚に入れています
本棚に追加