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その男は俺をしばらく観察すると、フラッと立ち上がって歩き出した。
俺もその後を追う。
森の中を捜索している。
どうやらアイテムを探しているらしい。
しばらく歩き続け、急に大きな木に登り始めた。
…かなり器用な登り方。
上から大きな袋を落とすと、滑るように降りてきた。
中身を確認すると、大事そうに抱えて歩き出す。
向かったのは砂浜。
一角にある草むらを掻き分け、中へと入っていく。
しばらくしたら出てきて、同じ行動を繰り返していた。
夕暮れ、急に彼の携帯が鳴り響く。
それを確認すると、すぐに携帯を見ながら走り出す。
視線の先には人がいた。
「……おい。」
「…うわあっ!」
「うるさい。」
「なんだお前!」
「…ここから先は俺の縄張りだ。どこか行け。」
「…は!?」
「殺されたいのか。早くどこかに行け。」
肩から紐でつるし、背中にあった日本刀を鞘から引き抜くと、刀をその男に向けて脅し始めた。
しかし、傍から見れば殺す気などないのは一目瞭然。
なぜなら、首に向けた刃は"逆刃"だったから。
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