未知の恐怖

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恐怖に怯えたのか、そいつは一目散に走って消えた。 それを目で追い、そして携帯を眺める。 暫くしたら、やっとその場から動き出した。 …興味が湧いた。 なぜこういう行動をとるのか。 ゲームが始まってまだ一週間も経っていないのに、すべてを知り尽くしたような。 気づかれないように男の後を追う。 日も暮れて空は暗くなり始めた。 男はさっきいた砂浜へと戻っていった。 少し見ていたが、どうやら動く気配はない。今日はもう休むようだ。 俺もいろいろ考えすぎて疲れた。 支給された水を口に含み、乾いたパンをかじった。 「…!!」 すると、男が消えていった草むらから、何かが飛んできた。 それを近づいて手に取る。 …寝袋だ。 「…あ、ありがとう!」 「……………」 尾行には気づかれていたらしい。 最初に会ったとき殺すとまで言われた相手に優しくしてもらえるなんて思わず、素直に礼を言ったが…返答はなかった。 それは朝起きてからも続いた。 ここに来てから45分おきとはいえ初めてリラックスして眠った寝袋の中、頬に痛みを感じて目を開けた。 「…うわっ!ビックリした!」 「……………」 俺を見下ろすようにヤンキー座りしていた。 その手には、フキの葉。 なんとも異様な光景に、ゆっくり起きて寝袋を出る。
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