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歩を進める度に慎重になっていく男。
その背中からピリピリした緊張感が漂う。
それもそのはず。このゲームは"キルゲーム"。
三大欲求はルールさえ守れば殺人も許されている。
生きるために物を奪い、奪うために殺す。
男の言う通り、そうやって必死に生きる人間を試しているバカげたゲームなのだ。
「……ぁ…………て……!」
前方から女の声らしきものが聞こえた。
すぐに男の足が止まる。
音を立てないように慎重に移動し、男の携帯を覗いて見た。
ポイントは約20mまで近づいていた。
「…あいつらか。…見ろ。」
反応の相手を見つけたのか、俺に指を指して見るように促す。
「…な……っっっ!」
「声を出すなバカ。気づかれたらこっちが殺されかねないぞ。」
その光景を目にした俺は思わず声を上げそうになったが、男の手で口を塞がれたために難を逃れた。
目にしたもの。
それは、大柄の男が泣いている女を強姦している場面だった。
「…助けに行くつもりか?」
「……いや、もう手遅れだ。」
「え?」
「あの女、泣いているけど下半身は嫌がってない。イかされたあとだ。死ぬことを知っている諦めた顔。」
「そんな!」
「お前、女に会っても欲情するなよ。あのバカ男のようになるぞ。」
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