未知の恐怖

17/39
前へ
/502ページ
次へ
その日は早々に休むことにした。 が、ここに来て初めて、三大欲求のルールが恨めしいと思ったときはなかった。 「…い………おい!」 「……ん…?」 「起きろ。」 「……え?」 「死ぬぞ。起きろ。」 疲れのために身体が休養を欲する。 しかし、その休養がまともにできない。 眠い。眠い。眠い。眠い。眠い。 イライラするほど眠い。 「母親に会うんだろ。死んだら会えねぇぞ。」 「……!」 …こういうものが仲間と言うんだろうか。 イライラを一瞬で払拭し、自分の目的をしっかり持てるように励ます相手。 自分も疲れて眠いだろうに、俺を心配して起きていてくれたのか。 恐らく俺が眠って30分。男は俺を見張り、そして起こしてくれたのだ。 「…ごめん、ありがとう。」 「……………」 両頬を両手で数度叩き、自分に気合いを入れた。 「交代。俺が起きてるから寝ていいぞ。」 「……………」 「30分したら起こすって!信用しろよ!」 またフッと笑った。 そして、俺の隣で横になる。 すぐに眠りについた男。やっぱりこいつも凄く眠かったんだ。 眠気と格闘しながら30分を乗りきり、男を起こしてまた眠る。 それを朝まで繰り返し、その日の夜を乗りきった。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2636人が本棚に入れています
本棚に追加