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生欠伸が出る中、とりあえず何かを食べることにした俺は、自分に配給された食い物を男に見せた。
「…腐ってるじゃねぇか。勿体ない。」
「あ、本当だ。…って!食い方分からねぇよ!」
「炒めて食えば最高に美味いだろ。おひたしにしてもいいし。ビタミンの宝庫を無惨なゴミにしやがって。」
「へぇ…ビタミン…」
チンゲン菜なんて、調理されたものしか見たことなかったから知らなくて当然だが。
男はガッカリしながらも少ない食材で見事な朝食を作り上げた。
器用と言うかなんと言うか。
火の起こし方も分からない俺にとって、温かい料理を口にするのはどこか心の癒しにも思えた。
出来上がった料理を食べていると、恒例の9時定期メールが送られる受信音がした。
俺はそれを無視。男は律儀に確認。
確認した男は、顔を真っ青にさせた。
「……どういうことだ!」
「……?」
定期メールに何か驚く内容でもあったのか?
そう思いながら俺も開いてみる。
《管理本部です。
昨日の結果をお伝えいたします。
ルールその1による死者数0
ルールその2による死者数1
ルールその3による死者数9
その他の死者数7
違反者には処刑人を速やかに送らせていただきました。
以上です》
いつも通りだ。
どこもおかしい点はなく思える。
しかし男はそう思っていないらしく、凄い勢いでメールを打ち始めた。
その形相は、焦り、苛立ち、緊張。それらを含んでいた。
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