未知の恐怖

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「人間の欲求というものは、そうそう単純なものじゃない。 悔しいくらいに強欲になるのが人間だ。そうなるように造られていると言ったらいいか。 …例えば、色を識別できなくても生きていける。 味がない食べ物でも、食えさえすりゃ生きていける。 聞こえなくても、しゃべれなくても、最低限の必要さえあれば人間は生きていけるんだ。 …それがどうだ? 味覚、聴覚、視覚、そんなものが人間に備わっているからな。強欲になるのも当たり前だ。」 「…お前、そんなこと考えていたのか?」 「それを煽ったゲームだろ。考えないわけない。 その強欲、それを制限されることで起きる衝突。 …よく考えつくものだ。 その一端だろ。第二弾の招集は。」 「…え?」 「横になって休みたいのが人間。 雨風が凌げて、安定した場所にいたいのが人間。 他の誰かと触れ合いたいのが人間。 その中で一番耐えられないのは? もちろん睡眠だな。…フン。本質は変わってないか。」 「なに?どういうこと?」 「俺たちの三大欲求、最大の敵は睡眠欲だ。 一番多くの人間がこれで命を落とすだろう。 二弾目招集は?これもやはり”睡眠” エコノミー症候群、聞いたことあるだろ。 きっとこれで命を落とす人間はたくさんいるだろうな。」 「…座ったまま寝るから?」 「ああ。 食料は十分に与えられているはずだ。…これは予想だが、水は配給に含まれていない。 エコノミー症候群の場合、肝心なのは運動と水分。 長時間の休憩は逆に命を奪われる。」
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