未知の恐怖

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「睡眠なんて人間の欲求と言うより本能だ。 疲れたら休みたくなる。疲れてなくても眠くなる。脳を休ませ、記憶を処理し、活性させるためには必要な本能だからな。 それを制限すればおかしくなる。 一弾目、それを制限させた人間観察、二弾目、制限せざるを得ない状況に置かれた場合の人間観察。 管理本部…というか、国の考える実験とやらはそんなとこだろ。」 「……………」 「…一弾目の奴らの庭に二弾目の獣たちが解き放たれた。考えなくても最悪なのは分かってる。 でも、俺は俺の仲間を守る。」 「お前、もしかして…こんな状況で前の仲間を?」 「あいつらは死なせない。多分、あいつでもこの事には気づいてない。俺が知ったのは、昨日の偶然があったお陰だ。 …誰もあのエリアに侵入させねぇ。」 「……お前の仲間って…そんないい奴なの?」 「…一人は友達のような感覚。一人は弟のような。その弟、目が見えない。」 「!!」 「嵌められてここに来たと言ってた。俺はあの二人を絶対にクリアさせるんだ。」 こいつの頭の回転は、俺が思った以上に速い。 こいつが言うように俺が考えなしというのもあるだろうが、普通は考えないようなことまで考えている。 それは自分を守るため、それ以上に仲間を守るためだと分かった。 見たものや感じたものや聞いたもの、それらを纏めて、分析して、予想して、行動する。 「じゃ、近くにいくのか?」 「……………」 「頭の切れる仲間に教えてやるの?」 「…目が見えないんだ。無駄に動けば命取りになることはあいつも承知しているだろ。 アジトの周辺以外から動かないなら、知る必要もない。」 「そのアジトの近くに行こうとする奴を牽制していくんだ?俺にしたみたいに。」 「……………」 「牽制して引けばよし。引かなきゃ殺す。そうやって守るつもりだろ?」
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