未知の恐怖

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多分、本当に多分だけど、もし守りたいならそうやって守る以外に方法はないのかもしれない。 それくらいたくさんの人が死んだ。 明日は自分の番だと怯えている人はどれくらいいるんだろう。 …俺だってその一人だった。 怯えると、攻撃してくる。 小さな犬が、大きな犬に向かって吼えるように。 それを対処する術など、力以外に何もない。 知力を使って対処法や戦術を考え、体力を使って攻撃を回避し、精神力を養ってどんなことでも冷静になり。 「…俺も付き合う。」 「…相当危険だぞ。だから消えろと言ったんだ。」 「一人で全部抱え込まなくても。…俺だって頭はダメだけど他に何かの役に立てるかもしれないだろ。 それに、あんたは俺を”相棒”と言った。だったらあんたと一緒に行動しなきゃ。」 「……記憶にない。」 「嘘つくなよ!」 「そんなこと言ってない。」 「言った!」 「言ってない。」 「勝手にしろ。」 「ああ、勝手にするさ!」 なんとなく分かった。 こいつ、本当は俺を気遣ってたんだ。 危険から守ろうとしてくれたから。 そして、誰も殺さなくていいように、俺を自分から離した。 こいつについていけば、殺しは必然だから。
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