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大きく溜め息を吐いた男は、立ち上がって食事の片付けをする。
俺もその後についていき、一緒に片付ける。
しばらくすると茂みに入り、身支度をして出てきた。
ペットボトル二本のうちの一本を俺に渡すと、無言のまま歩いていく。
…ついてきてもいいってことかな。
都合のいいように考えて、急いで後を追う。
また今日もアイテムを探しにいくんだろうか。
それとも見回りに行くんだろうか。
…しかし、昨日といい今日といい、一体どれくらい歩いていくんだろう。
それくらいの距離を歩いて到着した場所は、森と茂みの混じった場所。
「…っし。」
立ち止まった男が、久々に声を出した。
しかもガッツポーズまで。
男の背後から視線の先を覗くと。
「…マジかよ!なにこれ!鶏みたい。」
「…烏骨鶏だな。すげぇ。こんなのがこの島にいたなんてラッキー。」
「この仕掛けってお前が?」
「ああ。かかるか分からなかったが、一応な。…こっちは兎だ。お前、どっちが食いたい?」
「え、普通に鳥だな。」
「…じゃ、兎にするか。」
「は!?」
「鳥はダメ。」
「じゃあ聞くなよ!」
「兎だって一羽、二羽と数えるだろ。同じ鳥だ。」
「それは昔の風習だろ!鳥は食ってもいいけど獣はダメだっていう。けど美味いから兎を鳥にしたら食えるからそう数えるようになったっていう。」
「…意外。知ってたのか。割と頭よかったんだ。」
「バカにしてんのか!」
「…次。」
「おい!何とか言えよ!」
なんか俺、怒ってばっかり。
だけど、少し楽しんでいる自分もいる。
…こいつのこと、また少しだけ分かった。
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