未知の恐怖

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ゾクリとした。 その躊躇なしの行動に。 冷徹ともいえる目をした人間に。 「…大丈夫か。」 「……………」 思いっきり吐いてしまった俺を気遣って、背中を撫でているこの男がまた遠く感じた。 吐き気がおさまり、男を見た。 男は俺を見返し、暫く黙っていた。が。 「…生きているものを簡単に殺せる神経が理解不能。」 「…!!」 「そんな目で俺を見ているけどさ。 店で売られている物だって同じ事されているんだ。見ていないから食えるのであって、見たから食えないなんておかしいぞ。」 「…分かってる。」 「この魚も貝も同じ生き物。この鶏だって同じ。 それによって人間は生きているんだ。生き物を殺して生きる、それが食物連鎖ってやつ。」 「…だから分かってるって!」 「分かっているならいい。…お前にはさせないさ。」 「…え?」 「こんなことは俺と一緒にいる間は俺に任せろ。 …誰だって嫌だよな。魚と鶏じゃ、なんとなく違うしな。」 「……………」 「落ち着いたんだったら出発だ。長居することはない。とりあえず戻ってこいつをどうにかしよう。」 …至って冷静に、淡々と話すこの男。 分かっていてもできない。でも、やらなければ、このサバイバルで生き残れない。 そんなの、重々承知だ。 移動しながらそんなことを考えているときだった。 「悠馬くん!!…悠馬くん!!どこにいるんだ!出てこい!帰って来い!悠馬ぁぁぁ!」
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