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「…チッ!」
「わっ!いってぇ!!」
「口閉じてろ。」
歩き出して10分。急に立ち止まった悠馬は、舌打ちすると俺の頭を鷲掴みにして身を屈ませた。
理由は、携帯から鳴り響くアラーム音だろう。
「…あいつがさっき叫んだからな。思いっきり敵を呼び寄せたか。」
「…ヤバいか?」
「見てみないと分からないが、一応知識として入れておけ。
西のエリアにヤバい奴がいる。
斧で脳みそぶちまけるような野郎だ。気をつけろよ。」
「………マジか。」
「見ろ。レーダーには4つポイントがある。つまりあっちもチームを組んでいるってことだ。
真鍋、お前はここから動くなよ。俺に考えがある。」
「何するんだ?」
「まず敵かどうか確かめる。」
短く言ったのはいいが、考えは何も伝わってない気がする。
なのに悠馬は草に身を隠しながら中腰で走って行ってしまった。
ポイントはどんどん俺の方向へ近づいてくる。
緊張で喉が渇き、生唾をゴクンと飲んだ。
「…!!」
俺との距離が約50mほどになったとき、4つのポイントに真っ直ぐ向かう1つのポイントが画面で確認できた。
…これが悠馬だ。
「…おい!左だ!!誰か来るぞ!」
「横に並べ!一気に殺せ!」
「食料持ってないかな!」
雑木林に男たちの声が響いた。
…言葉を交わして確認するまでもない、”敵”
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