未知の恐怖

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それから、 「これ以上先に進むな!戻れ!戻らなかったら殺す!」 その叫び声が響き、 「敵だ!」 「戻れ!」 「殺して持ち物を奪え!」 「殺れ!一斉にかかれ!」 「やってやる!やってやる!」 「戻れぇぇ!」 そんなやり取りが聞こえ、すぐに雄叫びに似た声が響き渡る。 …悠馬が危ない。俺も行かなきゃ。 そう思うのに、足が震えて動かない。 ただ、携帯の画面を見ることしかできない。 「!」 ポイントが一つ、二つと消えていく。 そして三つ、…四つ目。 最後に残ったのはたった一つ。 ドクン!ドクンドクン! それがゆっくり俺の方へ移動してきた。 …悠馬、だよな?敵じゃないよな? 動かないと。逃げないと。殺される。 死にたくない!死にたくない! 「……顔、上げるなよ。」 「!」 「俺の足元だけ見てついてこい。戻るぞ。」 「悠馬…無事だったんだ…良かった…」 「おい。顔を上げるなって。」 悠馬の声にホッとした俺は顔を上げようとしたが、悠馬に頭を押さえられて上げられなかった。 「…行くぞ。前を見るなよ。俺の足元を見ろ。いいな。」 ぶっきらぼうな言葉に頷き歩き出す。
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