未知の恐怖

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でも、どうしても気になり見てしまった。 「っ!!」 「…見るなと言っただろ。」 「…ご…ごめん…」 上半身が真っ赤だった。 所謂、返り血。 …殺、したんだよな? ポイントは悠馬以外全部消えていた。 悠馬が殺したんだ。 どうして人を殺せる? 躊躇することもなかったのか? …俺もいずれ殺されるのか? そんなことを考えたのは無理もない。 でも、分かる。 少しだけど、こいつと一緒にいたから。 できるなら殺したくない。だから再三警告した。 ただ、危険から守りたいだけ。友人と弟を。 返り血を浴びようが、汚い仕事は自分がやる覚悟。 こんなこと、友人や弟にさせたくないから。 …俺にもさせたくないから隠れろって言ったんだ。 「…悠馬。」 「…俺はいつから呼び捨てなんだよ。馴れ馴れしいのもほどがあるぞ。」 「いいだろ別に。」 「なんだよ。」 「…ありがとな。」 「………!」 前の仲間とは、こういうことがあって別れた。 俺は……離れたらダメだ。 そう思ったら素直に言葉が出た。 「…バカじゃねぇの。」 「なんでだよ!…わっ!」 「行くぞワン公。」 鞘で俺の頭をゴツンと殴った悠馬。 バカと言うわ、殴るわ、若干ムカッとしたが、横顔から笑みが溢れているのが見えたから、それはスッと消えていった。
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