未知の恐怖

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食事を終えた後、砂浜で横になりながら星空を見上げた。 都会では見上げるなどなかった。見上げても星なんて見えなかったし、そんな心情的余裕もなかったから。 疲れているはずなのに、なぜか眠くならない。 それは、隣で並んでいる悠馬も同じみたいだ。 「…このゲーム、必勝法がある。」 「えっ!」 突然の言葉に驚き起きた。 そんなこと、早く言えばいいのに。 「実はいくつかあることに気がついてた。」 「何?そんなにあるのか?」 「まぁな。」 悠馬も起き上がり、胡座をかいて俺と向き合う。 「スタート時、欲も何もなくせば良かったら早かったんだよ。」 「……………」 「俺は全員で助かる方法を考えていた。 …でも、早々にそれはできなくなった。」 「スタート?…あ、違反者?」 「そう。ゲーム開始前にバカがいたからな。でも、残った人間がみんな欲を捨て、全員で助かるという気持ちがあったならどうにかなったはずだ。 食料を分け合い、助け合っていきることができた。 …気づいたか?一人一人配給が違っていること。それで確信した。 管理本部は、100名分の十分な食料と水を分配する際、偏った分配方法をしていると。」 「…それってどういうこと?野菜だけとか?」 「極端に言えばそうだ。野菜中心、肉中心、米中心、水分中心。大量に配給もあれば少量もあるだろう。そんな感じ。 だから、みんなで持ち寄れば、何も不足はなかった。」 「協力すれば助かった?」 「多分な。"ハイリスクハイリターン"だ。」 「ここで?」 「管理本部だってそれは当てはまるってことだ。 もし、そんなことを全員が考えたら、みんな生き残れて賞金100億だぞ?管理本部は痛いだろ。 ただ、この考えを抱けるかが問題。 自主的に参加した奴らは、相当欲深い人間だ。当然、金のためなら何でもしていいという環境で躍起にならないはずがない。」 「…管理本部はみんなで助かると全員考えるわけがないっていう賭け?」 「それ。 賭けに勝った管理本部は、ハイリスクを犯したが、かなりのリターンも得られたって訳だ。 思惑通り実験は続行。100億負債も少なくなっていく。人間観察したい放題。…それが目的だからな。」
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