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しかし、悠馬の足は速く、どんどん距離が空いてくる。
それに気づいた悠馬が「先に走れ!」と俺の後ろに回った。
「林だ!砂浜から離れろ!」
「…ハァ!ハァ!ハァ!」
「右奥だ!走れ走れ走れ!前だけ見て走れ!」
後ろから急き立てる悠馬。
ドゴォォォォォォン!!!!
悠馬の後ろ、約5m程で再度爆発したからだ。
こうなったら、言われたことだけしか頭に残らず、パニックになりながらも前だけ見てひたすら走った。
「いいぞ、止まれ」と言われるまで5分程度だったが、フルマラソンを走った後のような疲労感があった。
「大丈夫か。怪我は。」
「ハァ!ハァ!大……丈夫!悠馬は?」
「俺も平気だ。深呼吸しろ。酸素を深く身体に廻らせる感覚で。そうすればすぐに息がおさまる。」
数回の深呼吸で、大分息が整ってきた。
同じ距離を走ったはずなのに、悠馬は涼しい顔で疲労感はまるでなかった。
…運動不足が露呈されたか。くそ。
「…大丈夫か。」
「ああ。」
「よし。じゃあお前はあの岩の辺りで待ってろ。俺は戻って荷物を取ってくる。」
「え!ダメだ!危険だ!」
「でも、居場所を知られた以上、あの場に留まる方が危険だ。移動する。
水も食料もあそこにある。あいつの場所からなら迂回して来なきゃ辿り着けないし、持ってくるなら今だ。」
「俺も行く!」
「たったこれだけで息が上がる奴が何を言う。大人しく待ってろ。すぐ戻る。
地図機能開けて見ていろよ。もし誰か来たらすぐに移動。1m動けばいい。それでレーダー探知は消える。警戒は怠るなよ。」
そう言って悠馬は闇に消えていった。
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