未知の恐怖

39/39
2632人が本棚に入れています
本棚に追加
/502ページ
しかし、悠馬の足は速く、どんどん距離が空いてくる。 それに気づいた悠馬が「先に走れ!」と俺の後ろに回った。 「林だ!砂浜から離れろ!」 「…ハァ!ハァ!ハァ!」 「右奥だ!走れ走れ走れ!前だけ見て走れ!」 後ろから急き立てる悠馬。 ドゴォォォォォォン!!!! 悠馬の後ろ、約5m程で再度爆発したからだ。 こうなったら、言われたことだけしか頭に残らず、パニックになりながらも前だけ見てひたすら走った。 「いいぞ、止まれ」と言われるまで5分程度だったが、フルマラソンを走った後のような疲労感があった。 「大丈夫か。怪我は。」 「ハァ!ハァ!大……丈夫!悠馬は?」 「俺も平気だ。深呼吸しろ。酸素を深く身体に廻らせる感覚で。そうすればすぐに息がおさまる。」 数回の深呼吸で、大分息が整ってきた。 同じ距離を走ったはずなのに、悠馬は涼しい顔で疲労感はまるでなかった。 …運動不足が露呈されたか。くそ。 「…大丈夫か。」 「ああ。」 「よし。じゃあお前はあの岩の辺りで待ってろ。俺は戻って荷物を取ってくる。」 「え!ダメだ!危険だ!」 「でも、居場所を知られた以上、あの場に留まる方が危険だ。移動する。 水も食料もあそこにある。あいつの場所からなら迂回して来なきゃ辿り着けないし、持ってくるなら今だ。」 「俺も行く!」 「たったこれだけで息が上がる奴が何を言う。大人しく待ってろ。すぐ戻る。 地図機能開けて見ていろよ。もし誰か来たらすぐに移動。1m動けばいい。それでレーダー探知は消える。警戒は怠るなよ。」 そう言って悠馬は闇に消えていった。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!