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それから30分程経った頃に悠馬は戻ってきた。
「…よかった…無事だったな。」
「当たり前だ。…行くぞ。あいつが近くまで来ているかもしれないから慎重に。」
知らない奴がレーダー圏内に入らない限り、相手の位置を知ることは不可能。
知ることができるのは、友達登録されている人間に与えられている電話とメールの機能のみ。
そこを利用しながら上手くすり抜け、あいつが分からない場所へ移動すればいい。
一時間ほど歩いたとき、悠馬が立ち止った。
「…今日はここで眠ろう。」
「…見晴らし悪い場所だね。」
「俺たちも見えないが、相手だって俺たちの位置を分かりづらいだろう。ま、レーダーがあるから意味はないが。目標が見えるのと見えないのの違いはある。」
「そうだね。…ここでいいか。」
「明日はまた移動する。」
「…あいつはどうするんだ?」
「それをこれから考える。」
寝袋を広げて下半身だけを入れ、座った状態のまま話を続けた。
「…さ、これからテストだ。」
「は?」
「お前がどれだけ考えているか、の。」
「…なんだよそれ。」
「さっきの奴、目を離すなと言っただろ。得られた情報は何がある?」
…得られた情報?
そんなもの、考える余裕さえなかったのに。
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