無人島

12/17
前へ
/502ページ
次へ
とりあえずパニックにならず落ち着くこと。 そして、置かれた状況の処理。 水を口いっぱいに含んで飲み干すと、空腹を満たすことを先決とした。 まともな考えは、イライラしてたらダメだ。 配給袋には、ご丁寧に数種類の調味料と鍋が一つ、そしてフライパンまで入っていた。 至れり尽くせりと思っていたら大間違い。 裏を読めば、腹を満たすために作ったものを早く消化させて、血みどろの戦いをさせたいという思惑が浮かぶ。 …究極の状況で、人間はどんな行動に出るか。 考えなくても最悪だ。 生きるために必死になるだけ。 まずは足の早い魚を食うべきだ。 鯖なんて半日ともたないだろう。 肉は、外ならまだしもこの洞窟なら一日くらいもつ。 ラップにくるまれたそれを手にすると、冷たい岩にうまく押し付けた。 そしてサバイバルナイフで鯖を捌いていく。 「…釣りの材料になるな。ま、今日は捨てるけど。」 即席の竿を作れても、肝心の糸がなければ釣りはできない。 細い蔓でもあれば出来るが、肝心の海を見ていないため、この北側にある海が断崖なのか砂浜なのかさえ分からない。 釣りをするならもう少し後。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2637人が本棚に入れています
本棚に追加