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単独でもいいが、この先を考えたら仲間は必要だと思う。
三日目までに出来たらいいが。
ピピピピピ!ピピピピピ!
「!?」
突然鳴った携帯。
慌てて確認する。
「…一人…」
アジトからまっすぐ北に向かって歩いていた俺は、どうやら他人の陣地に踏み込んでいたらしい。
しばらく立ち止まって点を見続けるが、動く様子はない。
どうやら地図機能を開いてないらしい。
しかし、この音は厄介だ。
都会の喧騒もない場所で矢鱈と目立つ。
下手したら、相手に気づかれ攻撃される恐れもある。
だが、鞄に入れている以上、バイブにしても気づかない確率が高く、それは時として攻撃より恐ろしいものになりかねない。
検知アラームの音を半分まで下げると、その点に向かって歩を進める。
「…男がいる…」
目的地である海。
その手前。
海に向かって正面に座る隙だらけの男が一人。
カジュアルな格好で、背後から見る限り、俺と同じくらいの年齢か。
水は手にしていないが、仲間が手に入るかもしれない。
慎重に、警戒をしながら近づく。
「…あの…」
「ようこそ。」
「!」
「待っていたよ、鴨がかかるのを。」
「…何?」
「君、僕が動かないから地図を開いてない、つまり、自分が僕に近づくことを知られていないと思ってたでしょ?
…残念。僕は既に地図を開いたよ。」
…騙された。
こめかみから汗が一筋流れた。
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