大切なもの、いや、大切になったもの

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すると突然、羽田が立ち上がって大声を張る。 「…あーーーーもう!! 考えるのやめた!!やめだやめだ!! 結局お前は来たくもないところまで来て、そんでさらにみんなを救い出そうとしながら将来を考えて管理本部まで潰そうとするお人好しってことだろ! そんな奴が俺らを殺すとか、俺らを見下すとか、そんなマイナスのことを考えているとは思えないし。 …いいよ。俺はお前に付き合う。 俺も向こうに家族がいるんだ。必ず生きて帰りたい。 それに家族にはこんなゲーム参加はさせたくない。」 「……………」 「…それでいいだろ?」 「…命懸けだぞ。俺の行く先は。」 「いいよ。ここに来た時点で命がけのサバイバルじゃないか。命を懸けるのが同じなら、俺は自分の信じたものについていって自分の人生を自分で決めた上で命を懸けたほうがいい。」 …来た。 先頭を切ったのは羽田。 「…俺ももちろん行くよ。悠馬は俺がいないと寂しいだろうからな。」 「…お前は囮だしな。」 「まだ言うのかよ。」 …ついてくると思っていたが、発言により行動を明確にした二番目は真鍋。 そこで一つ、賭けの一言。 「よく考えてくれといいたいところだが、二弾目の奴らもいることだし時間が惜しい。 強制ではない。ついて来るか来ないかは自分で決めろ。 ただ、ついて来ないなら、今後一切俺たちの邪魔をするな。邪魔をするなら敵とみなし戦うぞ。」 …来い。来い。来い。 何度も同じ言葉を繰り返し、希望を頭の中で叫ぶ。 「…俺は…行きます。 何もできないかもしれませんが、皆さんの食糧確保は私ができる分野ですから。」 …結婚指輪を眺めながら呟いた男が一人。 「…俺も行こうかな。」 「…俺も。」 「俺だって彼女に会いたいし。帰りたい。」
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