大切なもの、いや、大切になったもの

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「あまり人数は増やしたくないが、このゲームを苦しんでいる奴は放っておけない。 捜索班はそういう奴を見つけて来るんだ。 人を見つけたらまず観察する。そいつがゲームや殺しを楽しんでいるようなら絶対に近づくな。 観察して大丈夫と思うなら近づいて声を掛ける。 "このゲームに恨みはないか" これに似た言葉はそれぞれ任せる。 食い付くようならヒントを残しておけ。 ヒントは一人一人違うものを決める。 上遠野。お前は"一本杉の近くに行け" 西条さんは"山の麓に行け" 他にも数個考えてある。」 「悠馬。意味あるのかよ?それ。」 「本当に苦しんでいる奴は食い付く。どんなに遠くにいようが、この東エリアに来るはずだ。 何かあると匂わせるだけでいい。ここに来たらすべてを説明すればいい。それを聞いて離れる奴もいれば一緒にいる奴もいる。対応は説明後の話。 …まぁ、一緒にいれば飯を食いっぱぐれることはないし、水だって十分すぎるくらいあるんだと説得するが。」 「…うわ、腹黒っ!」 「当然のことだし事実だ。 とりあえず目標は60日目迄にそういった奴らを集めること。イベント開始すれば命の危険度は大きくなる。それまでに集めてみんなで対応する。 現在残りは半分を切った。その半分のうちの半分はここに集結している。 強かに生きてきた俺たちはもう分かっているはずだ。ここまで生き延びてきた人間が、生きるため、自分を守るためにどうやって来たか。 …必ずそれに快感を持った人間がいるはずだ。斧野郎や甲冑野郎と同じ人種のバカが。 そいつらは集の力を知らない。単数の強敵は複数の協力で補う。小さな蟻や蜂でも知っていることを知らない。 俺たちはみんなで戦って生きて帰るんだ。 欲望を抑えればいい。一億貰えるだけで満足だと、生き残れるだけで満足だと、そう思っていればいい。」
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