大切なもの、いや、大切になったもの

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「思い付くものだけだが、今はこんなものでいいだろうって。気付いたことがあったら後で付け加えればいいだけだし。」 「…ああ。」 「でさ、今みんなで話したんだけどさ。悠馬はどこにもいかずに拠点にずっといればいいんじゃないかって。」 「……………」 「ほら、総大将って、本陣にドンと構えるのが普通だろ?悠馬はこのチーム全部の総大将みたいなもんだし、みんなもそれでいいってさ。てか、その方が安心だって。」 「……………」 「…あ、喜んでる?」 「は?」 「一瞬綻んだ気がしたのに。ちぇ。 ま、拠点にずっといるんだから、悠馬は全員の飯係だな。宜しく。」 「…調子に乗るなよ。お前。」 「はい、ごめんなさい。」 思った以上に仲間だ。そう確信した。 割りと冷静に物事を見ることのできる西条さんや羽田、久木田といった人物の案だろうが。 正直、60日目迄にやるべきことが山ほどあって、身体が幾つあっても足りない状態だと思った。 しかし、仲間意識を高めるために接触は必要不可欠。 定期的に全員に目を掛け、声を掛け、耳を傾け、そういうことが一番重要だと思っていたからこそのフリー提案だった。 「…肩の荷が降りた。みんな、他のことは頼んだ。」 頭を深く下げて感謝した。 "必要不可欠"要素は、既に必要ない状態になっている。 この短時間でここまで仲間意識があるのも、 (侮れない奴だな…) 恐らく、真鍋の説明会(?)のお陰だろう。 真鍋とのやり取りに笑いだしたみんなだったが、俺の感謝に笑いが止まった。
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