大切なもの、いや、大切になったもの

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《管理本部です。 昨日の結果をお伝えいたします。 ルールその1による死者数0 ルールその2による死者数0 ルールその3による死者数0 その他の死者数0 以上です》 「……………」 イベントから数日。 俺たちは毎日動き続け、あげた成果は仲間が二人増えた以外に特になにもなかった。 そして、イベント以降、毎朝届くメールはこうして0が続いていた。 …非常にまずい展開だ。 冷静を装いつつ拠点で指示をしながら、ゆったりと構えて座る日々。しかし頭の中はフル回転をやめなかった。 …日本が"平和ボケ"と言われるのは、こういう状況にあるからだ。 戦争をやめ、内戦もなく、一般市民が"銃刀法"に守られている日本。 平和な時期が長くなれば、本当の恐怖を忘れていく。 加えて"慣れ"によるゆとりは、緊張感の欠如に繋がる。 …まだゲームは続いているのに。 …まだこの島には殺人犯がいるのに。 死者数0が続いているのは喜ぶべきことだ。 しかし、別の理由も考えられる。 例えば、もし俺たち以外の生き残りが、俺たちのように仲間になっていたら? …いや、あり得そうであり得ない。 ルール縛りがネックになるからだ。 他の生き残りは、二弾目の奴らが多いはずだ。 最初に死んだ人数、追加人数、そして、ここにいる仲間が圧倒的に一弾目が多いこと。 それに、二弾目は殺人が許されていない。 だからこそ、俺たちがここにいると自ずと制限される状況になる。 どれをとっても統計的に二弾目の奴らが多いのだ。 じゃあ…他の理由は? (考えろ!考えろ!考えろ!)
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