大切なもの、いや、大切になったもの

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「…中々やるじゃない…」 「……………」 少々息を切らせた津田愛美。 俺に肉弾戦を挑んできたとして、負けることは分かっているはずなのに、なぜそんな選択なんだ。 発した一言に、怪奇な表情で応じた。 「…フフ。」 「…何が可笑しい。」 「あんたの考えていることが分かるから。」 「……………」 「面白いね。でも殺すけど。」 「なぜ俺に執着する。」 「気にくわないから!それに、」 言葉と同時に更に刃物が飛んでくる。 十分に警戒していた俺には、それはスロー再生したDVDと同じ。柄のタイミングを読み、それを掴んだ。 「神園卓也の仲間だからよ!」 「!」 …どういうことだ? つまり、狙いは神園ってことか? …神園がキーになっていると言うなら、"なんで"という単純な疑問に繋がる。 それがもし、あいつの半生やそれに関わる何かだとしたら 「ねぇ、何を考えてるの?」 「っっ!!!」 ふと気付けば、目の前1mに迫った津田愛美。 その至近距離、やっとの思いで蹴りを防御した。 「あんたがここにいるなら、あの三人が生きていればここまで辿り着くでしょうね。」 「……………」 「だったら、一石二鳥かもしれないわね。だって、あのガキも私にとっては邪魔でムカつく相手だったし。」 一瞬目を見開いた。
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