大切なもの、いや、大切になったもの

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……こいつはここで殺さないといけない。 無意識だったがそう思った。 いずれは神園や岳に襲いかかる。それを阻止せねば。 俺の仲間。俺のバディ。俺の家族。 守るべきものを守れずにどうする。 守るためならなんでもやって来た。 …殺人だって。 「…お前はここで消えるべきだ。」 「は?」 「悠馬!?」 真鍋の声が聞こえた気がした。 しかし、俺には、津田愛美のバカにしたような声しか聞こえなかった。 …自分が殺気立っているのが分かる。 …俺はこいつを改めて標的と見なした。 「殺せるの?あんたに。」 「……………」 「出来ないでしょう?だって私はあんたの仲間だったんだから。神園卓也と違ってあんたは非情になれない。」 「…どうかな。俺はここにたくさんの仲間がいるんだ。それを守るためならお前を殺すことだって躊躇わねぇさ。」 「…悠馬ってば!何言ってんだ!」 「黙ってろ真鍋。こいつは」 「お前が殺人鬼になるなってんだ!」 「説得しろって?無理だ。こいつのことはここにいる誰より知っている。こいつは放っておけば全員殺すような女だ。」 後ろにいる全員、俺の殺気を感じている。 誰一人として俺を止めようとはしなかった。 それくらい、津田愛美に危機を感じているんだ。 …それがどうして分からない。真鍋。 「背負っちゃダメだ!守るためには守られることも覚えなきゃ!」 「意味が分からない。引っ込んでろ。こいつは今殺るんだ。」 「殺るなら背負うなって言ってるの!闇に落ちたらそれだけで管理本部の思う壷だって分かるだろ!」 「!」 一瞬、ハッとなって思考が止まった。 …が、
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