大切なもの、いや、大切になったもの

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全員で撃った機関銃は、津田愛美の頭を上手く捉えていた。 他にも心臓を狙った奴もいたらしい。 津田愛美の一番近くにいた俺は、津田愛美と真鍋の返り血を浴びていた。 「あああああああああああ!」 なぜか分からない。 でも、大声で自分の感情を発散させる以外何も出来なかった。 もっと早く始末していれば あのとき真鍋の言葉に停止しなければ そんな後悔が押し寄せ、涙に変わる。 真鍋の胸に顔を埋め、まだ暖かい身体を感じる。 が、鼓動は感じられず。 それがまた現実へと俺を引き戻す。 「……く……!」 何か聞こえた気がした。 でも、 気のせいだと思った。 このドロドロした感情をどうしたらいいのか、助けを求めている弱い自分がいるようで。 「………まくん!!」 まだこんなに暖かいのに なぜ真鍋は動かない? なぜ血を流して倒れている? …分かっているはずだ。 でも、信じたくない。 お前は俺の大切な… 瞬間、身体が吹き飛ばされた。 「悠馬くん!!!!」 「っ!」 次に襲ってきたのは強烈な左頬の痛み。 うつ伏せに倒れた俺は、ゆっくりと身体を起こす。 そして、 「………神園……?」 「…正気に戻ったかい?」 「なんで…」 「君がリーダーでしょ?レジスタンスの。 だからここに来たんだ。ずっと捜してたよ。」 …いつも見ていた、"ニッコリ"という名称が当てはまる笑顔を見た瞬間、涙が勢いを増した。
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