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その時、僕たちをここまで連れてきた男たちのうちの一人が声を発した。
「藤本。そいつが本当に"神園"?俺たちが全員知っている神園のことだろ?」
「……ああ。」
…僕の名前を知っていた。
イベントの時の死神撃破メールで知ったのか?
振り返り、少し首をかしげて男を見上げる。
僕の視線に気づいた男は、先程の表情とは一転、少し笑みを浮かべて僕に言う。
「藤本の友達の"神園卓也"、弟のように大事な"林原岳"、そしてちょっと考えなしだが行動力のある"西岡竜"」
「俺の覚え方!なんだそれ!」
「ははっ!お前が西岡か。気にするなよ。
ここにいる全員、そういう覚え方なんだから。」
「え?」
「そいつ、俺たちを信用させるためにここに来てからの自分のことをすべて語った。…というか、こいつに語らせていたんだが。
だから、お前たちのことはみんな知ってる。」
「……………」
「…藤本。真鍋のことは残念だった。でも、そのガキが言うように、島に来てサバイバルだと知り、生きたいと願っても死ぬ覚悟はどこかでしてきたさ。
それに、お前が再三言ったんだろ?
"自分と一緒にいれば死ぬ確率が高くなる"
"よく考えて自分で選べ"
全員考えて選んだ。死ぬ確率が高い道を。お前と一緒に管理本部を潰す道を。
それは真鍋だって同じだと思うぞ。」
「……………」
「お前が何もかも背負って、悪いことは自分のせいで…なんて考え方、また真鍋に怒られる。そいつ、化けて出てきそうだからな。」
「……ふっ。…確かに。」
「だろ。…しっかりしてくれよリーダー。戦争に犠牲は付き物だ。俺らはもう覚悟を決めた。生きるにしても死ぬにしても、自分が選んだ道だ。」
その会話から知り得た情報は、離れていた時間の悠馬くんの努力そのものだった。
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