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笑いが止まって一呼吸置いた後、顔を上げてみんなに聞こえる声で悠馬くんが発言する。
「取り乱して悪かった。俺はもう迷わない。
これから先、同じようなことが起こっても立ち止まらず前に進む。お前らも同じようにしてくれ。
それからこいつは神園卓也。俺がもっとも信頼している男だ。何かあったらこいつに言うといい。
そいつは林原岳。目が見えない障害があるが、みんな助けてやってくれ。
そっちは西岡竜。行動力はある奴だ。瞬時の判断力もある。協力して仲間にしてやってくれ。」
僕たちの紹介を簡単にする。
知っていたこともあるのか、誰も警戒する素振りを見せるものはいなかった。
「それぞれ休憩をとったな。終わった者から持ち場についてくれ。俺は暫くここを離れる。」
「どこ行くんだ?」
「…こいつを放っておけないから。」
「…あ、そっか。俺も手伝おうか?」
「いや、俺がやる。それに、こいつらにここのことを話さなきゃいけないし、こいつらに手伝ってもらうさ。お前はみんなを纏めてくれ羽田。」
「ああ。…これ、穴を掘るのに。」
「サンキュ。じゃあ解散。」
羽田と呼ばれた男は、悠馬くんにフライパンのような丸い鉄の何かを手渡した。
そして悠馬くんの一言でみんな散っていった。
残されたのは4人。
「…悠馬くん。」
「……………」
「愛美さんは殺しておくべきだった。ごめん。」
「…いや、お前のせいじゃない。」
「悠馬くんが僕たちのところに戻るまでに、愛美さんをどうにかしないととは思っていたんだ。
思わぬ形で排除できて、心に隙が出来ていた。
まさか生きているなんて思わなかった。」
「…処刑人は現れたのか。」
「ああ。何か薬を打たれて動かなくなった。
だから安楽死の類いかと…」
「…なるほど。」
真鍋くんを抱え立ち上がった悠馬くんが歩き出す。
そのあとを追った。
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