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丁度、黒木との戦いが終わった直後だろう。
自分が大事にしてきた者から向けられた怯えた目を見た直後に自棄になっていたとも考えられる。
もしそうなら、真鍋くんの存在は、悠馬くん自身を取り戻すきっかけになっていただろうし、心の安定を図る一言だっただろう。
「…一人でギャーギャー騒いでいるような奴だったよ。でも俺は、こいつが気に入ってた。」
「…ああ。分かるよ。」
「……悪い。今だけ許してくれ。終わったら止めるから。」
「いいよ。思いっきり泣いて。」
花畑は土が柔らかく、30分もすれば200×70×100cmほどの穴を掘ることができた。
その間悠馬くんは、流れる涙を止めることはなく。
「…よし、こんなもんでいいだろ。…岳、飛び降りれるか。」
「うん。」
先に穴に入った悠馬くんは、躊躇なく飛び降りた岳を受け止めて着地させる。
「神園、西岡。真鍋を頼む。」
少し冷たくなった真鍋くんの胴を僕が、足を竜くんが持ち、慎重に引き渡す。
見えない岳のサポートは、竜くんが言葉で指示をして、無事に横たえることができた。
先に岳を、そして悠馬くんを穴から出すと、四人揃って花を手向け、手を合わせた。
「…ありがとな。真鍋。」
泣き晴らした涙はもうない。
少し笑顔を見せた悠馬くん。
その上に土を被せ、完全に埋め終えたその場所に、石を積み重ね、さらに花をばら蒔いた。
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