試練

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一番壊されたくないものの天敵は、二弾目に渡っている可能性が否定できない、ってことか。 悠馬くんはもしもを考えて僕に伝えた。 「射程距離とか分かる?」 「旧ソ時代のものと似てた。恐らく150から300。」 「横風をかなり受けるだろうから、当たるのは100くらいと見ていいかな。」 「だろうな。それでもギリギリの線。」 「もしも、の話でしょ。」 「頭に入れていていい話だ。」 「まぁね。…っと。これもみんなに?」 「任せる。…西岡。ちょっと来い。」 今の会話内容を説明している間、悠馬くんは竜くんを連れて行った。 戻ったら、その手にはみんなと同じ機関銃が二つ。一つを僕に渡す。 「待って!僕のは?」 「お前は目が見えねぇんだから持っててもしょうがないだろ。当たんねぇ無駄撃ちは避けたい。」 「練習する!」 「だから、練習するための弾がないって言ってんだ。聞き分けてくれ。 その代わり、お前にはこっちをやる。」 「…何?…これは…弓?」 「真鍋のお手製だ。お前に預ける。 これなら何度撃っても取りに行けばいいだけだから、お前の練習次第で上手くなる。 いいか、岳。真鍋のものだからな。」 「…うん。分かった。」 竹で作った原始的な弓。 しかしそれは完璧に近いものだった。 恐らく真鍋くんは弓道部。弓に関しては悠馬くん以上に知識があったんだ。 それを岳に託した。その理由は言わずとも分かる。 「…神園。とりあえず指示を。」 「悠馬くんの仕事でしょ。」 「お前がいればお前の役目。」 「やれやれ。 じゃ、明日から仲間捜し部隊は入り口捜索部隊に。そのうち、そうだな…6人を警備部隊に。 僕と悠馬くん、岳の三人はここで待機する。 何かあったら狼煙を。…こんなものかな?」 「今はそれでいい。各自休むぞ。解散。」 そう言うと散っていった。 四人だけになると、悠馬くんが岳を見てニヤリと笑った。 「…さ、岳。俺に特訓の成果を見せてみろよ。」 「!」
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