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それはどこか期待しているような目で。
一瞬、悠馬くんが消えたあとに岳と二人で過ごしていた時間が頭を過った。
「…もしかして、知ってる?」
「…………ふ。」
「やっぱ悠馬くんは近くにいたんだね。あれだけアイテムが見つかるんだもんな。」
「メールしただろ。」
「岳にだろ。僕にはなかった。」
「妬くなよ神園。」
「妬いてないし。」
「岳も西岡も、前とは随分違うな。どうしたらこんな短期間で筋肉がつくんだ。」
「竜くんは努力の賜物。暇さえあれば木登りしてたからね。体幹鍛えられる上に全身の筋肉使うようなトレーニングでしょ。
岳の場合、今まで使わなかったものを使っただけ。」
「ふは!引きこもり脱出だな。」
「うっ!…僕、もう引きこもってない!」
「だからそう言ってるだろ。」
「悠馬くんは今の僕らに勝てるか……なっ!」
「うおっ!てめ!」
「竜くん!自由に動いて!合わせるから!岳!走れ!」
不意討ちで悠馬くんの死角から拳を当てに行く。
完璧に捉えたと思っても、悠馬くんの危機察知能力は凄まじく、軽くかわされた。
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